円成寺 大日如来坐像えんじょうじ だいにちにょらいざぞう
青年・運慶の気概が
あふれる若々しい仏像
平安時代末期、運慶が25歳ごろの造像です。父・康慶(こうけい)のもとで研鑽を積んできた運慶が、奈良仏師の将来を担う意気込みを示すかのように、長い期間をかけて取り組んだといいます。造像のきっかけは、円成寺の中興の祖・寛遍僧正がかつて都で仕えていた後白河法皇が多宝塔を寄進したことでした。後白河法皇は、多宝塔の本尊・大日如来像の制作を奈良の興福寺で造仏に携わっていた康慶ら慶派の仏師に依頼したのです。大日如来はサンスクリット語で「あまねく光を照らす者」の意味を持ち、密教における重要な仏です。左右の手で結ぶ智拳印(ちけんいん)は金剛界大日如来のしるし。その印に向けて気を込めるような力強さ。そして張りのある若々しいお顔。新しい感覚で造られたその姿は、今もいきいきと輝いています。
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相應殿(そうおうでん)にまつられる大日如来坐像(国宝)。悟りを完成させた如来は質素な衣を身に着けますが、大日如来は頭上に宝冠を被り、首飾りの瓔珞(ようらく)を付けています。これは、釈尊(ブッダ)が大日如来の化身であるという考えから、王子の頃の釈尊の姿にならっているためです
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ご本尊の阿弥陀如来が安置される本堂。阿弥陀堂とも呼ばれています
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上:ご本尊の阿弥陀如来が安置される本堂。阿弥陀堂とも呼ばれています
下:多宝塔。金色に輝く新しく造られた大日如来坐像の模刻が安置されています
多宝塔。金色に輝く新しく造られた大日如来坐像の模刻が安置されています
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詳細情報
- 住所
- 奈良市忍辱山町1273
- 電話
- 0742-93-0353
- 拝観時間
- 9:00~17:00
- 拝観料
- 400円(庭園は自由)
- アクセス
- 近鉄奈良駅からバス約28分「忍辱山」下車すぐ
- WEB
- http://www.enjyouji.jp/
東大寺 南大門金剛力士(仁王)像とうだいじ なんだいもんこんごうりきし(におう)ぞう
像高8mを超える
寄木造の巨像
日本の金剛力士像の代表作
運慶、快慶らが中心となって造立した寄木造の大作。阿形・吽形二体それぞれに約3,000点もの木製部材が用いられ、緻密な表現で筋骨隆々とした力強さに満ちています。造立は建仁3(1203)年。その23年前に平重衡が火を放ち、東大寺や興福寺のほとんどが焼失します。痛手を乗り越え、東大寺復興の総仕上げとして完成したのが、南大門と金剛力士像。約70日間で造像されました。壮大な吹き抜け構造の南大門で像高8m超の像を見上げると、圧倒的な迫力です。
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金剛力士像(国宝)。大仏殿に向かって左側が開口する阿形、右側が吽形。一般的に金剛力士像は入口正面を向いていますが、天平時代に造られたときから二体が向かい合っていたことがわかっています
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鎌倉時代に再建された南大門。金剛力士像とともに竣工されました。18本の大円柱が屋根裏まで達し、基壇上の高さが25mを超える日本最大の山門
詳細情報
- 住所
- 奈良市雑司町406-1
- 電話
- 0742-22-5511
- 拝観時間
- 大仏殿、法華堂(三月堂)、戒壇堂 4~10月7:30~17:30、11~3月8:00~17:00
- 拝観料
- 大仏殿、法華堂(三月堂)、戒壇堂入堂料各600円
- アクセス
- 近鉄奈良駅からバス約4分「大仏殿春日大社前」下車、徒歩約5分
- WEB
- http://www.todaiji.or.jp/
天平庵 東大寺店てんぴょうあん とうだいじてん
便利な立地とこだわりのスイーツが魅力
地元で愛される和カフェ
東大寺南大門から徒歩約5分ほどの場所にあり、参詣の休憩にピッタリな和菓子店。北海道・十勝産の小豆で炊いた餡や京都・宇治産の抹茶など、国内外の厳選した素材を使うお菓子が、地元で愛されています。1階が和菓子の販売、2階がカフェスペースになっていて、和菓子と同じ材料で作るあんみつや抹茶パフェなどの甘味が味わえるほか、1階で購入した和菓子をドリンクとともにいただくこともできます。
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抹茶パフェ900円。和菓子店専門店ならでは上品な甘味が味わえるパフェです
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木の温かみが感じられる2階のカフェスペース
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上:木の温かみが感じられる2階のカフェスペース
下:町家づくりの建物。お店が並ぶ複合施設「夢風ひろば」の入口にあります
町家づくりの建物。お店が並ぶ複合施設「夢風ひろば」の入口にあります
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詳細情報
- 住所
- 奈良市春日野町16 東大寺門前「夢風ひろば」
- 電話
- 0742-25-5525
- 営業時間
- 10:00~19:00(12~2月は~18:00) ※カフェは11:00~18:00(LO17:30)
- 定休日
- 不定休
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約15分
- WEB
- https://www.tenpyoan.com/
奈良国立博物館
ミュージアムショップならこくりつはくぶつかんみゅーじあむしょっぷ
仏像好きなら立ち寄りたい
博物館のショップで仏像グッズを
仏教美術に特化した国内唯一の仏像展示館「なら仏像館」がある奈良国立博物館。館内地下は入館料フリーになっていて、仏像の歴史や種類、造り方などを学べるコーナーがあるほか、仏像グッズを揃えるミュージアムショップがあります。博物館で所蔵する仏像のポストカードをはじめ、博物館の学芸員と一緒に考えたというキャラクターグッズ「元気が出る仏像」シリーズなどを販売。仏像や奈良に関連する書籍や雑誌も充実しています。
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70種類以上もある仏像のポストカード。1枚50円とリーズナブルなのが嬉しい
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ポップなイラストが可愛い「元気が出る仏像」シリーズ。クリアファイル270円など
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文具や布雑貨、書籍などミュージアム関連のグッズが多数揃います
詳細情報
- 住所
- 奈良市登大路町50
- 電話
- 0742-26-3868
- 営業時間
- 9:30~17:00 ※特別展時期及び季節によって変更あり
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約15分
- WEB
- http://www.narahaku-shop.com/
興福寺 天燈鬼・龍燈鬼立像こうふくじ てんとうき・りゅうとうきりゅうぞう
筋骨隆々でいきいき
ユーモラスな鬼の像
もとは四天王に踏みつけられていた邪鬼(じゃき)が、灯明を持ち仏前を照らす役目を与えられたという珍しい彫刻です。天燈鬼は灯明を肩にかついで口を開けながら威嚇し、龍燈鬼は口を結び、阿吽の一対に。龍燈鬼のほうは運慶の三男・康弁の作とわかっています。隆々とした筋肉の表現は驚くほど写実的でありながら、龍燈鬼が頭上の灯明を見上げる表情など、なんともユーモラス。慶派仏師らしい、リアルでいきいきとした表現が展開されています。
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左が龍燈鬼立像、右が天燈鬼立像(ともに国宝。国宝館収蔵)。水晶の玉眼(ぎょくがん)が使われています。像内に康弁制作とわかる文書が納入されていました。龍燈鬼のギザギザの眉には銅板を、龍の背びれには動物の皮を使っています(写真/飛鳥園)
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食堂(じきどう)のあった場所に建つ国宝館。旧食堂本尊の千手観音菩薩像(国宝)を中心に、阿修羅像をはじめとする仏像、絵画、古文書等を収蔵・展示しています。2018年1月にリニューアルオープン
詳細情報
- 住所
- 奈良市登大路町48
- 電話
- 0742-22-7755
- 拝観時間
- 境内自由(国宝館・東金堂9:00~17:00)
- 拝観料
- 国宝館700円、東金堂300円(共通券900円)
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約5分
- WEB
- https://www.kohfukuji.com/
※最新情報は各所へお問い合わせください