往時の元興寺大境内に思いを巡らす歴史旅

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往時の元興寺大境内に
思いを巡らす歴史旅

元興寺(がんごうじ)の創建は718年。
平城遷都にともない、飛鳥の地にあった日本初の本格的寺院・法興寺(ほうこうじ)が平城京に移され、その寺名を「元興寺」と改めたのが始まりです。
南都七大寺の一つにも数えられる大寺院だった元興寺が、隆盛を極めた奈良時代の寺域はとても広大。現在「ならまち」と呼ばれているエリアも、もとは元興寺の境内地でした。
ならまちに刻まれた元興寺創建の痕跡をたどって、ちょっとディープな歴史旅へ。かつての大境内を足で感じながら、往時の姿に思いを巡らせてみませんか。

    奈良時代の「元興寺伽藍配置図」。
    赤い線は現在の町筋を示しています

    どのくらい大きな境内だったの?
    元興寺はかつて東大寺や興福寺と並ぶ大寺院で、猿沢池を挟んで「北の興福寺、南の元興寺」とも呼ばれていました。奈良時代の境内は南北約500m、東西約250m。南北に長く、今のならまち全体がすっぽり入るほど大規模なものでした。
    奈良時代、どんなお堂が建つ伽藍だったの?
    食堂(じきどう)・講堂・金堂(こんどう)・中門・南大門が南北一直線に並び建ち、南大門の東方に巨大な五重大塔がそびえる壮麗な七堂伽藍でした。また五重大塔と対を成すように、南大門の西方には五重小塔を安置する西小塔院があり、僧侶の生活空間である僧坊が鐘堂を挟んで東西に各4組配されていました。これら大伽藍の中心である金堂には、弥勒菩薩がご本尊として祀られていたといいます。
    創建時の遺構は、現在ならまちのどこにあるの?
    奈良時代に隆盛を極めた元興寺でしたが、平安時代後期になると新しい寺院の興隆や、貴族と特別な関係をもつ寺院の強大化によって次第に衰退していきます。鎌倉時代から室町時代にかけて、講堂や食堂、金堂などのお堂が荒廃し、元興寺本体は複数の寺院に分かれます。近世に入ると境内地に民家が建ち並びはじめ、民家の中に埋もれるようにして散在する形になりました。
    現在も残る、
    ・「元興寺(極楽坊)」奈良市中院町
    ・「元興寺(塔跡)」奈良市芝新屋町
    ・「元興寺(小塔院跡)」奈良市西新屋町
    の3か所は、奈良時代の姿を今に伝える遺構として国の史跡に指定されています。
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    元興寺(極楽坊)がんごうじ ごくらくぼう

    1300年分の見どころがたっぷり。ならまちの世界遺産

    奈良時代の元興寺大境内の中でも、僧侶たちが暮らす「僧坊」があった場所です。元興寺は平安時代後期になると衰退の道をたどりますが、平安時代末期に浄土信仰が隆盛。すると元興寺の僧坊にあった『智光曼荼羅』が、極楽往生に救いを求める人々から篤い信仰を集めるようになります。
    智光曼荼羅は、浄土教の研究家で知られる奈良時代の学僧・智光が遺した阿弥陀浄土図。この曼荼羅を祀るために、かつて智光が居住していた僧坊の一部が鎌倉時代に改築されました。「極楽坊」と呼ばれたその一画はやがて浄土信仰の中心となっていき、元興寺本体とは別の寺院として発展。それが現在の「元興寺(極楽坊)」です。
    世界遺産にも登録されており、本堂や禅室、五重小塔といった国宝をはじめ、今も屋根の一部に現役で使われている飛鳥時代の瓦など見どころたっぷり。法輪館に展示の「元興寺境内復原模型」もお見逃しなく。奈良時代の大境内の様子が一目でわかります。

    • 「智光曼荼羅」を本尊とする本堂。奈良時代に智光をはじめとする僧侶たちが居住した僧坊「東室南階大房」の一部を鎌倉時代に改築したもの

    • 本堂と禅室の屋根瓦の一部は、飛鳥の法興寺から持ってきた1400年前の瓦。赤や黒色で他の瓦と色が異なる

    • 「厨子入 智光曼荼羅」。智光の正本は焼失したため、再制作された2代目

    • 昭和30年代の航空写真に奈良時代の伽藍を示した「元興寺境内復原模型」

    • かつて西小塔院に安置されていたと伝わる国宝「五重小塔」。高さ5.5m

    詳細情報

    住所
    奈良市中院町11
    電話
    0742-23-1377
    拝観時間
    9:00~17:00(入門は16:30まで)
    拝観料
    500円(秋季特別展期間中600円)
    アクセス
    近鉄奈良駅から徒歩約12分
    WEB
    https://gangoji-tera.or.jp/
    02

    奈良町物語館ならまちものがたりかん

    金堂はどこにあったの?
    床下に残された礎石を見学

    かつて金堂があった場所に建っているのが「奈良町物語館」。こちらでは創建時の金堂の礎石を見学することができます。金堂は伽藍の中でも弥勒菩薩を本尊とする中心的なお堂でしたが、1451年の土一揆による火災で焼失してしまいます。1462年に再建されますが、1472年の強風で倒壊。1473年頃にまた再建されますが、以後記録はなく、戦国時代には金堂はなくなっていたようです。金堂の礎石はそのままの状態で、上に新しい建物が建てられていったのですね。

    • 奈良町物語館は、明治に建てられた商家(酒屋)の建物を改装したもの

    • 床板を開けると、その下に金堂の礎石が!(イベント時以外は無料で見学可)

    • 伝統的な町家建築を利用した空間。各種展示やイベントを行っています

    • 庭にも金堂の礎石が。こちらは掘り起こして庭石として使われていたもの

    詳細情報

    住所
    奈良市中新屋町2-1
    電話
    0742-26-3476
    開館時間
    10:00~17:00
    入館料
    無料
    定休日
    不定休、お盆、年末年始
    アクセス
    近鉄奈良駅から徒歩約15分
    WEB
    http://www4.kcn.ne.jp/~nmc/
    03

    元興寺(塔跡)がんごうじ とうあと

    いにしえ人が仰いだ五重塔!
    巨塔を支えた礎石を間近に

    かつて元興寺大境内の東南にあった「東塔院(大塔院)」には、推定57mもの五重大塔がそびえ立っていたといいます。しかし、1859年に民家の火災により焼失。現在、奈良市芝新屋町の「元興寺(塔跡)」には、五重大塔を支えた基壇と礎石が残されています。塔跡の奥(北東隅)にある小さな階段から基壇上へあがると、巨大な17個の礎石を間近に見ることができます。

    • 「元興寺」と刻まれた石碑が立つ塔跡。1927年に行われた基壇の発掘調査では心礎の周囲から勾玉や万年通宝などの銭貨が多数出土しました

    • 礎石の規模から興福寺五重塔をしのぐ高さだったとも考えられています

    • 民家に囲まれた場所に立地。門前にある「史跡元興寺塔跡」の碑が目印

    詳細情報

    住所
    奈良市芝新屋町12
    拝観時間
    現在は境内整備作業のため閉門しています。
    開門はフェイスブックにて告知させて頂きます。
    https://www.facebook.com/kegon.gangoji/
    拝観料
    無料
    アクセス
    近鉄奈良駅から徒歩約16分
    04

    奈良町豆腐庵 こんどうならまちとうふあん こんどう

    本来の旨みをコース仕立てで
    ならまち屈指の豆腐料理店

    豆腐専門店「近藤豆腐店」の直営店。登録有形文化財の町家をリノベーションした趣ある店内で、おぼろ豆腐や生湯葉の刺身など、豆腐本来の味わいを大切にした料理の数々がいただけます。なお、お店のすぐ横にあるのが「元興寺(小塔院跡)」の入口。細い路地の先は、かつて五重小塔を安置していたと伝わる西小塔院があった場所です(現在は江戸時代に建立された虚空蔵堂の仮堂が建つのみ)。

    • 汲み上げ湯葉鍋、豆乳仕立ての湯豆腐と豆腐料理14品などが付く「豆腐三昧」4,800円

    • 坪庭が見えるテーブル席。格子越しに外が眺められる和室の個室もあります

    • お店の左側(南側)には「元興寺(小塔院跡)」の入口が隣接しています

    詳細情報

    住所
    奈良市西新屋町44
    電話
    0742-26-4694
    営業時間
    12:00~13:30最終入店、17:00~22:00(最終入店20:30)
    定休日
    月・火曜(祝日の場合は翌日)
    アクセス
    近鉄奈良駅から徒歩約16分
    WEB
    https://www.kondou-touhu.co.jp/naramachi/
    05

    瑜伽神社ゆうがじんじゃ

    ならまちを望む景勝の古社で
    往時の元興寺の姿を重ね見る

    法興寺(のちの元興寺)と同じく、平城遷都にともない飛鳥から移された古社。そのためこの地は「平城(なら)の飛鳥山」とも呼ばれ、飛鳥から移り住んだ人たちにとって故郷を偲ぶ場所でもありました。もとは元興寺禅定院の鬼門鎮守の社でしたが、後に興福寺大乗院がこの山麓に建つと、その守護社となりました。今歩いてきたならまちを高台から一望すると、往時の元興寺の姿が目に浮かぶかもしれません。

    • ご祭神は宇迦御魂大神(うがのみたまのおおかみ)。境内は春から夏にかけて鮮やかな新緑に包まれ、秋には紅葉の名所に。四季折々の風景が楽しめます

    • 瑜伽神社は元興寺(極楽坊)から徒歩数分のところに立地。境内の高台からならまちを望むことができます

    • 万葉集きっての才女・大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)が飛鳥を懐かしんで詠んだ万葉歌碑

    詳細情報

    住所
    奈良市高畑町1059
    電話
    0742-27-5299
    拝観時間
    7:00~17:00
    拝観料
    無料
    アクセス
    近鉄奈良駅から徒歩約16分

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