門前で毎日焼き上げる室生寺名物「よもぎ入り回転焼」

グルメ

室生寺門前で焼き上げる
名物「よもぎ入り回転焼き」

古くから「女人高野」と呼ばれ、女性の信仰を集める室生寺(むろうじ)。その門前で約50年、笑顔あふれるおかあさんが手焼きする、よもぎ入り回転焼きが名物のお店です。
室生寺の参拝客やバイカーらから愛される、昔懐かしい味が人気です。

    栄吉 えいきち

    室生寺の参拝客が行き交う場所にある、回転焼きのお店

    旅館を営んでいた「栄吉」が軽食処を開いたのは、昭和40年代。
    「よもぎを使った草餅はこの辺りに昔からあったけど、回転焼きはなかったんです」と、地元で採れるよもぎを入れた回転焼きを始めました。

    よもぎ入り回転焼き1個90円。手にしたときしっかりとした重量感があります

    小麦粉などを円形の型に流し込んで、あんこを入れて焼いたお菓子のことを関西では回転焼きと呼び、地域によって今川焼、大判焼など呼び名が違います。

    こちらの回転焼きは、開店当時から長年使い続けている銅板の型にラードを塗り、よもぎをたっぷり入れた生地を流し込んで、火加減を調整しながら焼いていきます。

    生地を流し込んだらあんこをのせていきます

    よもぎは摘んだその日の夜に湯がいてアク抜きしたものを使っており、香りが強く風味豊か。
    風味をより感じてもらえるよう、生地に少し塩を入れる工夫も。
    卵と牛乳を使っていないので、アレルギーを持つ子どもも安心して食べられると喜ばれています。

    モチモチっとしたやわらかな生地と生地の間には、よもぎの風味を損なわないようバランスよく粒あんが入っています。

    回転焼きを割ってみると、生地の内側は鮮やかな緑色。粒あんがたっぷりはさまっています

    この回転焼きを作るのは杉本勝子さん、84歳。年中無休で毎日、朝から一つひとつ手焼きしています。
    50年前の開店当時から店頭に立ち、長年の常連客から「おばちゃん、また来たよ」と慕われる室生の名物おかあさんです。

    明るい笑顔で出迎えてくれる杉本勝子さん。「電話して予約してくれはる人がいるから休まれへん」と笑いながら今日も回転焼きを焼きます

    バスを待つ間に食べる人や、歩き疲れて甘いものを口にしたい人、「室生寺に来たら食べたくなる」というリピーターなど、たくさんの人たちがこの味を求めて訪れます。

    室生の自然が間近に見える店内。回転焼きを食べながら、ここで出会った旅行者同士が旅先について話すなど交流の場にもなっています

    あたたかくて甘い回転焼きを頬張ると、ほっこりした気持ちに。散策の疲れもどこかに吹き飛んでしまいそう。
    帰り際「気を付けて、お元気で」と杉本さんが言ってくれる一言に、みな笑顔で「ありがとう」と店を後にする。そんな心も満たされ、旅の思い出になる素敵なお店です。

    どこか懐かしい佇まいの建物。後ろに見えるのは室生山です。ここから室生寺までは徒歩すぐ

    栄吉(えいきち)

    住所
    宇陀市室生709-2
    電話
    0745-93-2024
    営業時間
    8:00~17:00
    定休日
    無休

    ※価格は全て税込みです
    ※最新情報は各所へお問い合わせください

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