akordu アコルドゥ

瓦屋根の門をくぐると、モダンな邸宅を思わせる建物が現れます。
1階がレストラン、2階はバンケットルームと宿泊用ゲストルームです。
レストランは一面ガラス張りの大きな空間。桐天井が清々しく、木の温かみに包まれます。
窓の向こうには東大寺の森が広がり、紅葉シーズンには豊かな色彩で目を楽しませてくれます。

料理は、昼夜ともに季節のおまかせコースのみ。
昼は前菜4皿、肉と魚のメインディッシュ、デザート。夜は昼と同じ内容に4皿プラスされる構成です。
テーブルに置かれた小箱に、提供される料理名が書かれたカードが入っていて、一皿ごとにめくっていく趣向。「次は何?」と、期待が膨らみます。
この日の最初の前菜、カードに書かれている名は「イツモソコニアルモノ」。
謎かけのような言葉に続いて出されたのは、黒いスレートプレートにのった小さな緑の山。ほうれん草のシートと大和トウキで表現された若草山です。

サクッとしたシートの中に隠れているのは、奈良県下北山村で捕れた鮎のペースト。
鮎の苦みが、吉野の柿のお酢を使ったマヨネーズソースの甘みと合わさると、まろやかに変わります。
鮎の漢字の由来とも言われる、神武天皇が戦勝を「魚」で「占った」という伝説もまた、料理の中に隠された物語です。
2皿目の前菜は「けものと木の実」。

この日は鶏、豚、鴨を合わせたテリーヌでしたが、秋がもっと深まれば猪を使うそう。
大宇陀の榧(かや)の実、栗、そして奈良産の蜂蜜を添え、猪が走る山を表現。
さらにシェリービネガーとオリーブオイルを蜂蜜の上に回しかけ、さわやかな香りの甘めのソースで仕上げます。
しっとりしたテリーヌと木の実の組み合わせに蜂蜜のソースが絡まり、味も香りも食感も華やいで口の中に広がります。

この日のメインの肉料理は「大和牛のアサード」。大和牛を葛城市の稲藁で燻したものです。
絶妙な火の通り具合で香ばしく、ほどよい噛み応え。岩塩が肉の甘みを引き出し、シンプルさのなかに奥行きが感じられる一皿です。
葛城地方は奈良で最初に稲作が始まった土地といわれ、五穀豊穣を象徴して古代米の黒米とサツマイモが添えられ、お肉との相性もぴったり。

店名の「アコルドゥ」とは、スペイン・バスク地方の言葉で「記憶」。
川島さんは、東大寺旧境内という歴史ある場所で、奈良の記憶を料理にしていきたいと言います。
地元の食材を厳選して使い、奈良をどう表現するかに心を砕く川島さんの料理は、驚きとわくわく感、そして喜びをもたらしてくれることでしょう。

奈良の自然と歴史を感じながら、「アコルドゥ」の料理を通して奈良の恵みを味わうひとときを。
akordu(アコルドゥ)
- 住所
- 奈良市水門町70-1-3-1
- 電話
- 0742-77-2525
- 営業時間
- 12:00~13:00LO、18:00~19:00LO(22:00閉店)
- 定休日
- 月曜及び不定休
- web
- https://akordu.com/
※価格は全て税込みです
※最新情報は各所へお問い合わせください