古代史の神髄に迫る飛鳥屈指の展示施設

芸術・文化

古代史の神髄に迫る
飛鳥屈指の展示施設

飛鳥を知るうえで、押さえておきたいポイントがぎゅっと詰まった博物館。
数々の貴重な出土品をはじめ、石造物の実物や精巧なレプリカ、飛鳥に関する最新の研究成果などがわかりやすく展示されています。

    飛鳥資料館 あすかしりょうかん

    1975年に開館。建物の設計は谷口吉郎氏。東京国立博物館なども手がけた名建築家です

    ロビーに入ると、男性に女性が手を添え、ハグしているかのような石人像がお出迎え。
    古代のアートとも評すべき独創的な造形に、足を止め、じっと見入ってしまいます。

    石人像(重要文化財、東京国立博物館所蔵)。石神遺跡から出土した実物を展示。古代の噴水施設とされており、口から水が噴き出す仕組み

    飛鳥地域の復原模型や航空写真も展示。
    古代と現代を見比べながら、古代飛鳥の様子がイメージできるようになっています。

    古代飛鳥の復原模型(1/500)。中央を流れるのは飛鳥川。その東岸に宮や役所、西岸に川原寺や橘寺などが見えます。

    常設展示は、第1展示室と第2展示室。それぞれ展示内容に特徴があります。
    第1展示室は、「仏教伝来と蘇我氏」「飛鳥の宮殿」「律令国家への歩み」「よみがえる飛鳥の工房」「飛鳥の古墳」「飛鳥の寺院」といった6つのコーナーで構成され、高松塚古墳の出土品をはじめ、飛鳥の宮跡や寺院などの関係資料がふんだんに展示されています。

    「仏教伝来と蘇我氏」コーナーでは日本初の本格寺院・飛鳥寺の宝物も展示されています

    蘇我氏、中大兄皇子(のちの天智天皇)、中臣鎌足(のちの藤原鎌足)、大化の改新あるいは乙巳の変…。
    観覧していると、教科書で習ったワードが次々に登場し、懐かしい気持ちになるとともに、あらためて飛鳥は日本はじまりの地であることを実感します。

    「飛鳥の古墳コーナー」に展示されているキトラ古墳壁画の複製陶板。非常に精巧で本物の壁画を見ているような感覚に

    第2展示室は、飛鳥時代の大寺院・山田寺にスポットを当てた内容です。
    山田寺跡から出土した東回廊が再現展示されているのですが、こちらはなんと、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺よりもさらに50年ほど古く、7世紀半ばの貴重な例として重要文化財にも指定されています。

    「山田寺 東回廊の再現展示」。出土した部材を14年かけて保存処理し、組み立て直して展示

    庭園には、飛鳥に点在する石造物のレプリカが勢ぞろいしています。
    例えば「猿石」の場合、実際に猿石が置かれている現地では背面がよく見えませんが、こちらは背中の彫刻まではっきり確認できます。
    ほかにも、須弥山石(しゅみせんせき)や石人像は実際に水が噴き出し、酒船石は当時使われていた様子が再現されるなど、「石と水の都」とも称される古代飛鳥の世界観を体感できます。

    庭園。猿石をはじめ、飛鳥の石造物のレプリカがずらり。現地ではわからない部分もじっくり観察できます

    飛鳥観光の予習にも、散策した後の復習にも最適な飛鳥資料館。
    一度行ったら、展示内容の濃さとポテンシャルの高さに感動するかも。
    ゆっくり時間をかけて観覧するのがおすすめです。

    飛鳥資料館
    (あすかしりょうかん)

    住所
    高市郡明日香村奥山601
    電話
    0744-54-3561
    開館時間
    9:00~16:30(入館は16:00まで)
    休館日
    月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
    入館料
    350円
    アクセス
    近鉄橿原神宮前駅からバス約10分、「明日香奥山・飛鳥資料館西」下車、徒歩約3分
    web
    https://www.nabunken.go.jp/asuka/

    ※最新情報は各所へお問い合わせください。

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