天平文様とは
天平文様とは、正倉院宝物に見られるさまざまな文様のこと。地中海世界や西アジアに起源を持つものも多く、奈良時代に唐から日本へと伝えられ、工芸品や織物などにあしらわれました。
花をくわえた鳥「花喰鳥(はなくいどり)」が幸せを運ぶ「咋鳥文(さくちょうもん)」や、花の美しい要素だけを集めた豊麗な花葉を持つ「宝相華文(ほうそうげもん)」など、吉祥文様が多く使われています。
興福寺の戸帳に使われている「樹下双獣文」は、南国風花樹の下に、鳳凰や獅子・羊・鹿などを向かい合わせに配置したもの。古来より樹木は力強い生命力の象徴とされてきました。生命の樹にまつわる伝承や神話は世界中に存在します。
私は、産学共同プロジェクトでの取り組み時に天平文様の美しさに魅了されました。以来デザイン化を続け、今では150以上ものデザインがデータベース化されています。
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咋鳥文
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宝相華文
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樹下双獣文
天平文様が間近で見られる
奈良の古刹
興福寺(こうふくじ)
正倉院宝物は千有余年の間、朝廷の監督の下に厳重な管理がなされてきた宝物であり、その文様は一般に広まるものではありませんでした。天平文様が美しく再現され、間近に見ることができる興福寺は、貴重なスポットといえます。東金堂や南円堂の入口に掛けられている戸帳(とちょう)のモチーフとなっているのは、正倉院宝物の「鹿草木夾纈屏風(しかくさききょうけちびょうぶ)」。この図柄がいつからお寺で使われているのか記録は残っていないそうですが、訪れる多くの人たちの目に触れるところで、天平時代からの文様が脈々と受け継がれています。正倉院に残っている文様は、色褪せたり欠けたりしていますが、それを丁寧にトレースして色を入れていくと、命が吹き込まれるように立ち上がってくるんです。古い文様なのに、今見ても洗練されたデザインに見えますね。
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東金堂の前で。デザイン化に取り組むようになってから、「こんなところにも!」と、あちこちで天平文様が使われていることに気づくようになりました
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「鹿草木夾纈屏風」をモチーフとしている戸帳。ササン朝ペルシアの系統を引く構図です。山野に遊ぶ鹿のおおらかな雰囲気で、奈良らしさを感じさせてくれます
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五重塔(右)は、聖武天皇の冥福を祈って御遺愛品(後の正倉院宝物)を東大寺の大仏に奉納した光明皇后が発願で建立。左は聖武天皇発願の東金堂(いずれも国宝)
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弘仁4年(813)に藤原冬嗣(ふゆつぐ)が父・内麻呂(うちまろ)の追善のために建てた南円堂。こちらも東金堂と同じ戸帳が使われています
詳細情報
- 興福寺(こうふくじ)
- 住所
- 奈良市登大路町48
- 電話
- 0742-22-7755
- 拝観時間
- 境内自由(東金堂は9:00~17:00)
- 拝観料
- 東金堂300円、国宝館700円、共通券900円
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約5分
- WEB
- https://www.kohfukuji.com/
愛らしいコンペイトウを
天平文様の小箱に詰めて
砂糖傳 増尾商店(さとうでん ますおしょうてん)
ならまちで160年余りの歴史を持つ老舗「砂糖傳 増尾商店」。おみやげに人気のコンペイトウ「奈良こんふぇいと」の小箱に、天平文様のデザインが新しく登場しました。9種類の天平文様の小箱から柄を選んで、そこに好きなコンペイトウを詰めてもらえます。天平文様柄を扱っているのは、ならまち本店だけ。「あの人にはこの柄を」「このコンペイトウはこの小箱に」と、おみやげを選ぶ楽しみが増えて嬉しいです。
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可愛い天平文様の小箱が自由に選べる「奈良こんふぇいと」箱入り540円
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コンペイトウは、ブルーベリー、コーヒー、大和茶、吉野の柿の葉など約15種類あります
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店内には「奈良こんふぇいと」のほか名物の「御門米飴(みかどこめあめ)」、和三盆干菓子、料理の用途で使い分ける各種砂糖の小売り用パッケージなどが並びます
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創業は安政元年(1854)。当時とても珍しかった砂糖と、創業者・増尾傳次郎の名の「傳」を取って「砂糖傳」と呼ばれるようになったといいます
詳細情報
- 砂糖傳 増尾商店(さとうでん ますおしょうてん)
- 住所
- 奈良市元興寺町10
- 電話
- 0742-26-2307
- 営業時間
- 9:00~18:00
- 定休日
- 無休(年末年始は12月30日~1月3日まで休み)
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約20分
- WEB
- http://www.satouden.com/
一皿ごとに歓声が上がる、
オシャレな大人のイタリアン
RISTORANTE Borgo KONISHI(リストランテ ボルゴ・コニシ)
ランチは、とっておきのお店「リストランテ ボルゴ・コニシ」へ。奈良の旬の食材を中心に、厳選された素材を使って伝統的なイタリア料理を美しくアレンジされています。たとえば宇陀金ゴボウを使った前菜は、トッピングのささがきが、ゆらめくような華やかさ。思わず歓声を上げたくなる盛り付けで驚かせてくれます。そんなビジュアルの美しさも楽しんでください。シニアソムリエの奥様が、そんな奈良の食材の話をしてくださるのも楽しいひととき。カウンター越しに会話も弾んで、女性一人でもワインと料理が楽しくいただけるのも、この店の魅力です。
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前菜「宇陀金ゴボウとハトムギのリゾット タッツィ―ナ仕立て」。宇陀金ゴボウのソース、パイ生地のカップに入ったハトムギのリゾット、その上に素揚げにした宇陀金ゴボウのささがきがのっています
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大和橘のヴィジリアパスタ。アンチョビとバターのソースに、刻んだ橘の実がたっぷりと。橘はそのまま食べると苦みと酸味の強い柑橘類ですが、イタリア料理にはピッタリ。サワラとも相性がよく、さっぱりとした味わい
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大和牛のストゥファート。添えられているのはやまと花びらだけ。一緒に白ワインでじっくりとカラメリゼすることで、素材のうまみが凝縮されます。料理はいずれもお昼のコース4,644円から。ランチは2,484円~あります
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カウンターとテラス席のシンプルな内装
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シェフの山嵜正樹さん、奥様でシニアソムリエの愛子さんと
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洗練された雰囲気の中にもあたたかみが感じられるエントランス
詳細情報
- RISTORANTE Borgo KONISHI(リストランテ ボルゴ・コニシ)
- 住所
- 奈良市小西町24 フラッツコニシビル2F
- 電話
- 0742-26-5581
- 営業時間
- 11:00~15:00(LO14:00)、18:00~23:00(LO21:00)
- 定休日
- 月曜(祝日の場合は翌日)、(年末年始は12月31日、1月1日休み)
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約1分
- WEB
- http://www.borgokonishi.com/
小箱やカード、手元に置きたい紙製品が華やかに 活版工房 丹(かっぱんこうぼう たん)
きたまちの「活版工房 丹」は、2017年7月にオープンしたお店。奈良市内の印刷会社が、創業当時の活版印刷を復活させ、活版のグリーティングカードのほか、さまざまな紙製品を制作・販売しています。「奈良らしい商品をつくりたい」という思いから、天平文様を早い時期から商品に取り入れ、こちらの店舗でもたくさんの商品を揃えています。愛らしいだけでなく上品な雰囲気が漂うのは、格調高い正倉院の宝物に由来するからなのでしょう。こんな風に、たくさんの人に天平文様を知ってもらえることが嬉しいです。
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奈良らしいデザインの商品が並びます
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「正倉院文様御朱印帳」。各2,268円
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活版カード正倉院文様 各300円。活版印刷らしい凹凸感のある手触りです
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活版印刷で使用する、鉛で出来た文字「活字」を並べたオリジナルのテーブルにディスプレイされています
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小さくて可愛い「正倉院コモノイレ」。赤色のほか青、白もあります。各1,400円
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町家を改装した店舗。奥にはギャラリーも併設しています
詳細情報
- 活版工房 丹(かっぱんこうぼう たん)
- 住所
- 奈良市東向北町6
- 電話
- 0742-93-7721
- 営業時間
- 10:00~18:00
- 定休日
- 水曜(年末年始は無休)
- アクセス
- 近鉄奈良駅から徒歩約1分
- WEB
- http://akainara.net/
※最新情報は各所へお問い合わせください