(写真/飛鳥園)

(写真/飛鳥園)

法隆寺

法隆寺に伝わる七不思議

推古15(607)年創建、1400年以上の歴史をもつ法隆寺は、多くの謎や伝説が残っています。
その中で「法隆寺の七不思議」が語られ出したのは江戸時代のころ。時代の移り変わりにより七つの内容は異なっていますが、一般的に言われるのは次のようなものです。

1
法隆寺では蜘蛛が巣をかけない。
2
南大門の石段の前に魚の形をした石が埋め込まれている。
3
境内の地面には、軒先などから落ちる雨の跡がない。
4
雀が建物に糞をしない。
5
五重塔の上部の相輪に四本の鎌が刺さっている。
6
法隆寺には3つの地下蔵がある。
7
夢殿の礼盤(らいばん※お坊さんが座る台)の裏は汗をかいている。

(写真/飛鳥園)

5は魔物とされる雷を鎌で怖がらせる雷除けの呪(まじな)いという説があり、6は寺の破損や火災のあとに再建するための道具が実際に入っているとのこと。7は湿気が上がり水滴がつくようです。
そのほかの、蜘蛛の巣や雀の糞、雨だれの穴がない、というものは現実とは異なりますが、法隆寺がたぐいまれな聖域で、常に清浄であってほしいという人々の思いの表れかもしれません。諸説あると伝わる七不思議、法隆寺に訪問の際にひとつずつ検証してみてはいかがでしょうか?

謎多き仏さま─ 
百済観音くだらかんのん救世観音くせかんのん

すらりとした長身、緩やかな曲線が美しい衣。そして、水瓶を持つ開きかけた花びらのような指先。大宝蔵院のなかにある百済観音は、その美しさで人々を魅了してやみません。

しかしながら、この仏像の由来は残っていません。

江戸時代の史料にはこの仏像が金堂の北側に安置されており、百済からやってきた「虚空蔵(こくうぞう)菩薩」と紹介されています。
その後、明治期になると観音菩薩の証しとなる宝冠が見つかり、これがこの仏像の頭にぴったりだったことから、今では菩薩ではなく百済の観音さまとして「百済観音」と言われています。
法隆寺が建立された飛鳥時代から白鳳期にかけて造立されたと伝わるこの貴重な仏像。その後の調査で日本で自生しているクスノキで彫られていることから、日本で作られたことがわかりました。謎多き仏さまです。

もうひとつは、聖徳太子の等身像といわれ太子を供養するために造立された法隆寺の夢殿の本尊・救世観音立像。
この仏像を収めている厨子を開ければ祟りがあると、僧侶たちの間で恐れられ、およそ八百年もの長い間、秘仏として厨子は堅く閉じられていました。
ところが明治期に入り、アメリカの東洋美術史家のフェノロサが調査のために「絶対秘仏」の厨子を開けました。積もったほこりと仏像に巻かれた木綿を取り除くと、仏さまが八百年の眠りから覚めました。立ち会った人は、その美しさに言葉を失ったと言います。
この救世観音は春と秋の特別開扉の機会に会うことができます。

法隆寺

住所

生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1

電話番号

0745-75-2555

公式サイト

http://www.horyuji.or.jp/

※拝観時間や拝観料等、詳しくは法隆寺公式サイトをご確認ください。